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17. 要心に越したことは無い、SFTSだけではないマダニへの警戒
1:はじめに
害虫といえば、蚊・ハエ・マダニ・ノミ・シラミ・カメムシ・ムカデなど多くの虫が思い浮かぶ。これらの多くは、刺す・咬む・吸血するなどの行為により掻痒感や灼熱感を来し、腫れや水腫などの病変のみならず、時には重篤な感染症を発症する病原体を伝播するものもいる。さらに、虫体成分や排出物による喘息やアレルギー症を発症することもある。さらに近年では、害虫刺咬を起因とする思わぬ食物アレルギーとの関連も報告されている。このように害虫の動物への危害は多種多様である。また、害虫名は総称名で呼称されることが多いが個別には多くの種が存在し、一概には評価できないこともある。また、ヒトへの危害という観点からの害虫の区分も明確とはいえず曖昧な点も多い。
害虫は一般的には、人間(ヒト)や家畜・ペット・農産物・家財品などに対し、有害を与える無脊椎動物の小動物群で、主に昆虫類などの節足動物やダニ類を指し、衛生害虫、農業害虫、貯殻害虫、建築害虫などに分類する。この中でヒトの疾病に直接関与する害虫群としては衛生害虫がある。さらに、衛生害虫は①病原体を媒介する「媒介害虫」、②刺咬や吸血など直接実害を与える「有害害虫」、③不快感や不潔感など心理的・精神的な間接的害を与える「不快害虫」に分かれる。本稿では、衛生害虫の中のマダニを中心にダニ類について解説する。
2:ダニとは
ダニは、クモやサソリの仲間で、頭・胸・腹が一体化した胴体部の前方に口器の顎体部が付いていて頭部が無い。この中で屋内に生息するダニは屋内塵性ダニ類と総称され、ヒョウヒダニ(チリダニ)類・コナダニ類・ツメダニ類を含む。屋内塵性ダニ類の70~90%をコナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニが占める。屋内塵を採集したダニの調査では当然ながら屋外性のダニも何種類かが混入する。屋内塵は、地域性・住宅構造や風土・床材・住人の生活スタイル・食嗜好性などにより構成成分は異なるために、おのずとダニの種類や構成も多様性を示す。本稿で中心となるマダニは、屋外性のダニ類で食性も吸血性である。
ダニは全世界で約4万5千種存在すると言われており1)、欧米では大型の吸血性のマダニ類とそれ以外の小型のダニを明確に区別し、前者を英語でTick、後者をMiteという。我が国ではダニという語感自体に害虫感が強く、なかにはダニ、マダニとを混同することも多い。欧米圏では、ペットや牧場などで人畜に害を与える "Tick" に対する警戒・不快感は強く、忌避対策にも関心が高い。ダニは、ヒトや動物に対する多くの疾患におけるベクターであり、中には危険生物とみなされるものも含む。
マダニは屋外に生息し、注視すれば肉眼でも確認できる大型のダニで、成虫の大きさは多くは3~4mmぐらいであるが10mmに近い種もあり種類によりさまざまである(図1)。吸血後、飽血時は10mm近くに達する。マダニは叢などの植生、低木の葉の裏側や落ち葉層などの地面に待機し、宿主動物の通過を待つ(図2, 3)。後述する優れた感覚器であるハラー氏器官を駆使し動物の位置を認識し、宿主動物に飛ぶ・接触するなどにより付着し咬着する。マダニは3~4月頃から活動を活発化し、10~11月頃が本格的な活動期となる。中には、冬季に活動する種類もいる。最近では、ヒトの活動域とマダニの生息域とが交錯し問題化している。
図1 ダニ類の体長とヒトへの主たる病害
「ダニが見えるはウソ!?ダニの種類と大きさ比較」より引用し一部改変
図2 葉裏で待機中のタカサゴキララマダニ雄成虫
マダニ調査へ行ってきました - 兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)
ひとはくblog (hitohaku.jp) 2014年6月 3日 (山内 健生)/昆虫共生系研究グループ)より引用
図3 ズボンに付着したフタトゲチマダニ若虫(指との比較)
マダニ調査へ行ってきました - 兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく)
ひとはくblog (hitohaku.jp) 2014年6月 3日 (山内 健生)/昆虫共生系研究グループ)より引用
3:マダニとは
ダニの起源の時期は不明だが、既知の最も古いダニの化石は約1億年前の白亜紀と言われている。マダニ(真蜱)とは、節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目マダニ亜目マダニ科(Ixodidae)に属するダニの総称である。ダニ目に位置付けられ、クモに近い仲間である。マダニ目は、世界で3科約900種2)、日本ではヒメダニ科とマダニ科の2科46種が記載されている3, 4)。マダニ科は14の属702種を含む2)。マダニは卵から、幼虫、若虫、成虫の3段階で成長し、幼虫だけは脚が3対6本で、若虫、成虫は4対8本ある。
マダニは、宿主動物の位置を前脚の遠位脚節(足根)にあるハラー氏器官(Haller’s organ: スイスの動物学者ゴットフリード・ハラーにちなんで命名)と呼ばれる感覚器によって感知する。この高性能な感覚器は全てのマダニ種の発達段階全てにおいて機能しており、長距離(場合によっては数メートル)の宿主をも感知できる。化学受容体として、彼らの感覚(感覚細胞)は、アンモニア・二酸化炭素・硫化水素・フェノールおよびラクトン誘導体・フェロモン・酪酸やベンズアルデヒドなど、さまざまな物質に対して種特異的な反応をする5)。さらに、ハラー氏器官では、熱・振動・音・湿気をも感知する6)。
マダニの一部の種は、低い植生で宿主を長い期間待ち伏せし、チャンスを逃さないように装備した機能的構造が拡大画像により見て取れる7)。哺乳類から発せられる匂いや体温、体臭、物理的振動などに反応して動物に付着もしくは飛び降り、動物の体温を感じ、宿主を認知する。さらに、宿主の皮膚の柔らかな部位を探索し、吸血行為を行う。その吸血行為によって、マダニの体は大きく膨れあがる。マダニ目のマダニ科のダニは、硬ダニ(hard-tick)と呼ばれ胴部の背面を背板の硬い組織で覆われている。ヒメダニ科は軟ダニ(soft-tick)と呼ばれ、外皮が柔らかく背板を持たない8)。また、マダニは真空に耐えることが判明したが、詳細な機構や耐性条件などは今後の研究結果が待たれる。これにより、電子顕微鏡での生体観察が可能となる9)。
マダニは近年の調査によると、ヒト住居の庭・道路・公園・森林・田畑の叢など身近な生活環境の広範囲に生息していることが報告されている。しかし、マダニ被害の報道を受けても、いまだにマダニの生息域は、荒れて生茂った叢・荒れた藪・覆い被さった河川敷・奥まった森林・害獣への寄生などのみのイメージを持ち、自分はマダニと接触する機会は無いと過信する者も多い。ところが、近年は、居住区域・商業区域・工場区域の開発などに押され、山林の奥地へと生活圏の侵食が進んでいる。このために、生物相の一部は残存し、叢や土壌生物の一部はヒトの生活圏傍に交錯し残っている。叢は手入れを怠ると瞬く間に生い茂り藪化してしまう。さらに近年は、多くの害獣被害に見られるようにヒト居住区へのネズミ・アライグマ・イノシシ・シカ・タヌキ・クマなどの害獣(野生動物)や野良猫や犬などに害虫が付着し、搬送されて害虫類も拡散している。不動産開発での森林開拓による住宅地の郊外化、社会機構の変遷に伴う耕作放棄地の蔓延、自然災害などによる拡散加速など害虫と叢は私達の生活圏の身近にまで迫っている。
また、健康志向の高まりとともに、散歩・ランニング・ピクニック・登山・アウトドア・コンパニオンアニマル・家庭菜園などの行動において、気付かないうちにヒトが害虫と接する機会も増えつつある。
今の生活環境では、衛生害虫との接触は予期せぬ行動から発生する可能性は高い。しかし、マダニなどの衛生害虫でも、病原体を持たないものから運悪く刺咬されたとしても通常、感染症は発症しない。このため、過度に恐れることなく正確な知識を備え対処すべきである。ただし、問題なのは、害虫が病原体を保持しているか否かは検査をしないと外見上からは見分けがつかないことである。
マダニは、気門の有無・数・位置などにより分類同定されている。マダニの同定は形態的な同定がGold standardとされているが、近年は、分子生物学的手法を用いた分類検証も盛んに行われている10)。
日本には、命名されているものだけで47種のマダニの生息が確認されており、これまでの調査により、複数のマダニ種(フタトゲチマダニ・ヒゲナガマダニ・オオトゲチマダニ・キチマダニ・タカサゴキララマダニ)から重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスの遺伝子が検出された。日本では、フタトゲチマダニとタカサゴキララマダニがヒトへの感染に強く関与している。主要なマダニの同定や形態学的観察法については、山内らおよび山口大学の資料などが初心者でも取組み易く、写真画像を用い詳細に説明されているので参照いただきたい11, 12)。
4:マダニと類縁ダニ類との鑑別
マダニの話題がのぼると、マダニ(屋外)と一般的にダニと呼ばれる屋内塵性ダニ(屋内)とを混同し、心配される方がいる。たしかに同じダニ目で、無気門亜目(コナダニ亜目)と後気門亜目(マダニ亜目)のダニ類であるが両者は、虫体サイズ(肉眼での可視ができるサイズ:マダニと肉眼での観察は困難なサイズ:ダニ類とに分かれる)でも、さらに生息場所、食性、ヒトへの危害特性なども大きく異なるため区別できる。
マダニは、ハラー氏器官と呼ばれるマダニ特有の感覚器官を持つ。ハラー氏器官は第1脚末節背面に存在し、昆虫類の触角に相当する機能を有する器官である。化学的刺激や温度などに反応する感覚器官である。さらに、物理的振動・ヒトや動物の体温・体臭・吐出物を感知して宿主に寄生する。近年、マダニは短い距離ながら空中を重力に逆らって飛んで移動できることがわかった13)。このことは、マダニは宿主に直接接触しないでも付着できる。さらに動物に寄生したマダニは、宿主の皮膚の柔らかい部位を探し(特殊な足先構造を持つため宿主には感知されない)咬着をはかる。マダニの体長は3~8mmで肉眼観察が可能である。さらに血を吸うとヒトのほくろ大に膨れ上がる。一方、一般的な屋内ダニは、寝具やヒトの肌や衣服などに付き、洗顔や洗濯だけでは取り除けない。体長は平均して0.2mmほどと「マダニ」よりも小さく肉眼での観察は困難である。また、食性も、ヒトのフケ・アカ・食べ物残渣などを食べ、ツメダニは刺すことは有るが吸血はしない。さらに、マダニ類は、固い外皮に覆われているので鑑別ができる。
おなじく屋外に生息しマダニと類縁のツツガムシ(ツツガムシ病リケッチアを媒介)との鑑別も重要である。幼虫は野ネズミの耳に寄生していることが多い、ツツガムシは幼虫時一度だけ哺乳類の皮膚(ヒトの場合は、柔らかい部位、脇の下や内腿、下腹部など)に咬着し組織液、皮膚組織の崩壊物など体液を吸引するが、宿主は痛みや痒みをほとんど感じない。幼虫の体長は0.2mm以下と肉眼的確認は困難である(ツツガムシの刺咬部には特徴的痂皮を生じる)。マダニと違って吸血はしない(吸着した後も虫体は、マダニのように膨れない)。成虫は昆虫の卵などを食べ寄生性が無い。成虫は赤色で体長1mm以下、幼虫はオレンジ色で0.2mm以下である。ツツガムシはマダニ同様、幼虫は3対、成虫は4対の脚を持つ。ヒトへの有害虫はアカツツガムシ・タテツツガムシ・フトゲツツガムシの3種とされている。幼虫は春から初夏、秋から初冬に多く発生する。
ツツガムシ(恙虫)は、ダニ目ツツガムシ科のダニの総称。ツツガムシ科に属するダニ類は日本では約100種が報告されている。動物の体液を吸引する際、ツツガムシは二酸化炭素により動物の接近を検知する14)。
『0.1%から3%の個体が経卵感染によりツツガムシ病リケッチアを保有している。保有するリケッチアの血清型は、種との関連性がある。タテツツガムシはKawasakiまたはKuroki型、アカツツガムシはKato型、フトゲツツガムシはKarpまたはGilliam型を保有する。
(Wikipedia「ツツガムシ」より抜粋)』
赤いダニとして混同されやすいダニに、上記マダニとツツガムシおよびタカラダニがある。
これらの中で最も大きいのはマダニ(成虫3~8mm、体色は赤色に近い褐色)で、ツツガムシ(成虫は1mm以下、さまざまな体色のものがいるがアカツツガムシはきれいな赤色)、タカラダニ(成虫は約1mm、体色は赤褐色)と3種類とも肉眼での観察が可能である。タカラダニは、ダニ目前気門亜目タカラダニ科アナタカラダニ属のカベアナタカラダニBalaustium murorum(Hermann)という種で、40種類以上が存在する。
幼虫は卵型で約0.5mm、成虫は約1mmで、体色は特徴的な赤褐色で鋏角ハサミが長く、体内に出し入れできる。体が多くの毛で覆われているのが特徴である。
5月から7月頃突然に日当たりの良いコンクリートポットや階段、門壁やベランダなどのコンクリート壁を小さな赤いムシが、たくさんちょこまかと素早く動き回っていることが有る。この虫がタカラダニである。現在までにオスが発見されたことは無い。出没もほぼ3カ月位である。栄養の摂取は、昆虫類の体液、花粉、苔、ハダニやカイガラムシなどを捕食するなど雑食性であり、タカラダニの生態については不明な点が多い。虫体色が目立つ赤褐色の上に動きが素早く、不快心と危害心を抱く者が多い。日本ではタカラダニのヒト刺咬例は報告が無いが、つぶした体液による皮疹を起こすことがある。
『マダニ科は14の属と702種から構成され2)、この中にはボレリアやリケッチアのベクターとして生態学的に重要なものが含まれる。
マダニ科には以下の属が含まれる:
- キララマダニ属Amblyomma-130種
タカサゴキララマダニAmblyomma testudinarium - Anomalohimalaya-3種
- Bothriocroton-7種
- Cosmiomma-1種
- Cornupalpatum-1種
- Compluriscutula-1種
- カクマダニ属Dermacentor-34種
- チマダニ属Haemaphysalis-166種
キチマダニHaemaphysalis flava
フタトゲチマダニHaemaphysalis longicornis - Hyalomma-27種
- マダニ属Ixodes-243種
ヤマトマダニIxodes ovatus
シュルツェマダニIxodes persulcatus - Margaropus-3種
- Nosomma-2種
- Rhipicentor-2種
- コイタマダニ属Rhipicephalus-82種
オウシマダニRhipicephalus microplus
(Wikipedia「マダニ」より抜粋)』
5:マダニ吸血のしくみ
マダニの成虫は3~8mmで吸血後は10mm以上になるものもある。
一般にマダニは目が無く、目が存在する種では目は陰嚢の側面近くに見られる。マダニはオス、メスともに一生を通じて動物の血液だけを吸って生きている。自然界ではマダニは長期間絶食に耐え植生の先端でじっと待って、動物が通るとチャンスを逃さず乗り移る。運よく宿主に移ったマダニは、ふつう1週間~10日間という長時間にわたって宿主の血液を摂取する。マダニの吸血は他の吸血昆虫の吸血様式とは異なる。通常、吸血昆虫は針状の口吻を皮下の血管に直接刺して数分間で十分量を吸血する。しかし、マダニの吸血は手が込んでいる、触肢を使って吸血に適した場所を見つけると、触肢が左右に開き口器が現れる(マダニの口顎部拡大像は、SFの世界の怪獣を思わせるような恐怖に慄く生体画像である)マダニは2本の鋏角(鋏のような形状)と口下片(ギザギザの形状をした歯:口針に相当)とからなる口器を持つ(図4)。
図4 マダニ図
マダニの吸血は、まずは刺し込みと固定、さらに麻痺剤と血液凝固阻害剤を注入する。鋏角により皮膚を切り裂き噛む、皮下の血管を壊して口器全体を宿主の皮膚にゆっくりと差し込んでいく。さらに口下片を刺し入れ、宿主と強固に連結し、真皮に形成された血液プール(小さな創傷腔)から血液を摂取(吸うより舐めるに近い行為(噛む))する。口下片には多数の虫体側に向いた反り返ったトゲがあり抜けにくい。マダニは「マダニン」というタンパク質で血液の凝固を阻止する。マダニンは2か所のチロシン残基がチロシン硫酸転移酵素により硫酸化されると凝固阻止活性は約1,000倍に強化するため安定的な吸血ができる15)。さらに、摂取時には血液が漏れ出ないように、かつ宿主から離れないようにマダニセメントを排出し、口器全体と宿主の皮膚とを固めて強固に固定する(図5)。マダニセメントは、堆積、硬化プロセス、剥離を都合よく進行させる必要がある。この合理的成分はグリシンを主要とするタンパク質で構成されている16)。
マダニセメントには、硬化が早い成分と遅い成分が含まれている。フタトゲチマダニなどのマダニ属、キララマダニ属以外のマダニは、口下片をマダニセメントで固め連結を強靭にしている、その量は種によって異なる。
図5 マダニ吸血の仕組み
マダニ吸血の仕組み - 廊下のむし探検 (fc2.com)より引用
このような吸血方式のためマダニの吸血時間は極めて長く、雌成虫の場合は6~10日にも及ぶ(吸血時間が長いことは虫体成分の注入量も増える)。マダニは吸血の間に、宿主血液の水分や不要なタンパク質などの不要成分は宿主に戻しながら約1mlに及ぶ大量の血液成分を吸引する。
さらに、唾液成分は、抗菌特性・創傷治癒・かゆみ・血液凝固・宿主免疫系からの保護などの機能性を有し、自身の捕食に好都合に作用するさまざまな生理的効果をもつ因子を含む余剰体液(唾液には、多種類の成分が含まれている)を口下片から宿主体内に分泌する17,18)。
マダニは、十分量の吸血に近づくと、マダニセメントを溶解する成分(タンパク質分解によると推察)を分泌するという説もあるが、この離脱機構については詳細な解明はできていない。マダニはたらふく血液を吸うと、宿主からポロリと落ちる(マダニに刺咬された際、マダニの除去処置で、虫体に触れて無理に引き抜いてはいけないのは、このマダニセメントで固定された吸血機構のためである。マダニの腹部を押すと余剰体液の逆流がおき、無理やり除去すると虫体から口器が剥がれ皮膚内に残存する可能性がある。このことがマダニ咬傷による宿主への余分な負荷をかけることとなる)。一定期間経過すると、脱皮して次の齢へと成長する。そして、次の吸血の機会を待つ。マダニの吸血は脱皮のためで、脱皮ごとに齢を重ねる。種によって異なるが、一定回数脱皮すると最後は成虫になり脱皮を終える。成虫の吸血は生殖のためである。メスは吸血した後、産卵を終えると死亡する(図6)。
図6 マダニの産卵から孵化まで
ありんこ日記 AntRoom:マダニの産卵から孵化まで (livedoor.jp) 2022年1月8日より引用し編集
また、宿主となるヒトに付着したマダニは、宿主の体中を歩きまわり、吸血しやすい皮膚の柔らかい部位を探す。しかし、なぜかマダニはこの動作をヒトに感じとられることなく、皮膚の上を移動する。これができるのは脚先の形状にあるようである。実際、マダニに咬着されたほとんどのヒトがマダニの移動には気付かず、マダニに吸血されている間も症状としてはほとんど感じることがなく、咬着された方の多くは、「何か変なものがくっついているがなかなか取れない」、「少しかゆみが残るくらいだった」と言う方が多い。
マダニは、全ての種類が発育や産卵のために動物から吸血する。ヒトが吸血された場合、病原体が伝播されて感染症を発症するリスクがある。さらに、近年の次世代シーケンサー解析で、一部の種では複数の病原微生物を保持する個体の存在が確認され、共感染事例も発症するなど、マダニ媒介性感染症の診断を困難かつ複雑化している19)。
さらに、マダニの唾液には、宿主の止血・免疫・組織修復反応に対抗するペプチドと非ペプチドの複雑な混合物が含まれる。最近のトランスクリプトーム研究により、単一のダニ種の分泌ポリペプチドをコードする、1,000を超える異なる転写物が明らかにされた20)。これらの機能性成分を医療へ応用する研究も行われている21)。特に、マダニセメントは、拒否反応も少なく強度も充分で、ヒトの傷や骨折の治癒や移植組織の接着などへの応用が期待されている17)。
6:マダニ刺咬による疾患
マダニは、世界中でヒトを含む脊椎動物における人畜感染症の最も重要な媒介動物の一つである。他の節足動物グループよりも多くの病気を伝染させる22)。
マダニは世界中に分布し、気候変動とグローバル化および生活圏の急速な開発などに伴い生息域は変化しており、ヒトの生活圏では野生動物との交錯が増している。今日、その脅威は増えつつある。
マダニ類が媒介する病原体は多様で、ウイルス・広義の細菌(リケッチア・スピロヘータ・アナプラズマを含む)・原虫などの病原微生物さらには種々の毒性物質まで含まれる。
マダニ刺咬による感染症は、マダニに刺咬されたヒト全てが発症するわけでは無い。刺咬したマダニが、保有している感染症の病原体を、吸血中に排出するマダニの唾液を介して伝播し発症する。マダニが保有する病原体は多種で、マダニの種類や生息域によって、保有する病原体の種類や保有頻度は異なる。一般的には、日本では野外のマダニ類が何らかの病原体を持っている確率は低いため、マダニ類に刺されても過剰に恐れる必要はない。しかし、病原体を保有していた場合は診断や治療が遅れることで重症化し、命に関わる感染症もあるので、正しい知識を持って冷静に対応することが大切である。また、マダニ咬傷疾患には、感染症だけでなく数種類のマダニが保有する毒素に起因するものもある。
マダニ刺咬により発症する感染症は多種であるが、各感染症は他の感染症と比較し症例数が少なく研究が遅れ、咬傷マダニの種名などは調査中のものもある。また、感染症の詳細および病状・病態・治療については、CDC・NIHおよび我が国の厚生労働省や国立衛生研究所から随時集約的に情報が発信されているので、これらの機関情報を参照いただきたい23, 24, 25, 26, 27)。
我が国の主なマダニ咬傷疾患の年間発生件数は、日本紅斑熱(300件)・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス(100件)・ライム病(10~20件)・野兎病(5件以下)・回帰熱(5~10件)・ダニ媒介脳炎(TBE)(5件以下)・Q熱(5件以下)・アナプラズマ症(5件以下)・Yezoウイルス熱(5件以下)である27)。
北海道ではマダニによって媒介されるダニ媒介脳炎の患者が発生している。現時点ではSFTSとTBEには、有効な治療法はない。
マダニ媒介性感染症
2020年代になって新たに確認されたウイルスもある28)。以下に、マダニが媒介する主な感染症例を挙げる。
日本紅斑熱
『発生はダニの性質・生息域・活動などに影響を受ける。
媒介ダニは、キチマダニ(Haemaphysalis flava)、フタトゲチマダニ(Haemaphysalis longicornis)、ヤマトマダニ(Ixodes ovatus)などヒトへの嗜好性が強いマダニであることが示唆されている。キチマダニからはリケッチアが分離され、他からはPCRによりリケッチアの遺伝子が検出されている。リケッチアはダニからダニへと継卵感染により受け継がれる。マダニは幼虫・若虫・成虫のいずれも哺乳動物を刺咬し、吸血する。自然界で保菌あるいは感染動物は、本症のリザーバー(感染巣)となり、動物→ダニ→ヒトの感染もある。この感染巣として、げっ歯類や野生のシカなどが重要である。
(IDWR 2002年25号掲載「日本紅斑熱」より抜粋)』
Q熱
『Q熱は人獣共通感染症で、リケッチアの一種Coxiella burnetiiによる感染症である。Q熱という病名は、「Queryfever=不明熱」に由来している。Coxiella burnetiiは、リケッチア科コクシエラ属の小桿菌で、多型性を示す。増殖時の菌の形態には大型菌体(large cell variant, LCV)と小型菌体(small cell variant, SCV)とがある。本菌は相変異を起こし、I相菌およびII相菌とよばれる。I相菌は野外(病原)株で菌体表面にリポ多糖(LPS)を保有するが、II相菌は、I相菌を発育鶏卵や培養細胞を用いて長期継代した弱毒化株でLPSを持たない。
自然界では多くの動物やダニが保菌しており、感染源となりうる。感染動物は不顕性感染のことが多いが、妊娠しているウシやヒツジが感染すると流産や死産を起こすこともある。本菌は、胎盤で爆発的に増殖する特性がある。症状はインフルエンザ様であるが、主症状が肺炎・肝炎あるいはその他の症状であるなど、臨床像は多彩である。他のリケッチア症と異なり、皮疹がみられることは稀である。
(国立感染症研究所ホームページ「Q熱とは」より抜粋し編集)』
ライム病
『ライム病(LymediseaseまたはLymeborreliosis)は、野ネズミ・シカ・野鳥などを保菌動物とし、マダニ科マダニ属(Ixodes)のダニによって媒介される人獣共通の細菌(スピロヘータ)による感染症である。欧米では、現在でも年間数万人のライム病患者が発生し、さらにその報告数も年々増加している。本邦では、1999年から2018年までの20年間で231例が報告されている。本邦でのライム病患者報告数は少ないが、野ネズミやマダニの病原体保有率は欧米並みであり、潜在的にライム病が蔓延している可能性が高いと推測される。
ライム病を起こす病原体ボレリアには、数種類が確認されている。北米では主にボレリア・ブルグドルフェリ(Borreliaburgdorferi)、欧州ではB. burgdorferiに加えて、ボレリア・ガリニ(B. garinii)、ボレリア・アフゼリ(B. afzelii)、ボレリア・ババリエンシス(B. bavariensis)が主な病原体となっている。本邦では、B. bavariensis、B. gariniiが主な病原体となっている。ライム病ボレリアは、野山に生息するマダニに咬着されることによって媒介、伝播される。
本邦においては、シュルツェマダニ(I. persulcatus)の刺咬後にライム病を発症するケースがほとんどである。本マダニは北海道ならびに、本州や四国・九州の山間部に生息する。北海道や本州中部・東北地方の一部で採取された本マダニから、ライム病ボレリアが分離・検出されている。一般家庭内のダニで感染することはない。
(国立感染症研究所ホームページ「ライム病とは(2019年03月20日改訂)」より抜粋)』
回帰熱
『回帰熱(Relapsingfever)は、げっ歯類小動物・鳥類などを保菌動物とし、野生のダニ(オルニソドロス属ダニ)やシラミによって媒介される細菌(スピロヘータ)感染症である。
ダニ媒介性回帰熱はヒメダニ(Ornithodoros)属の軟ダニ、または硬ダニであるIxodes scapularisを介して伝播する。
ヒメダニ属、マダニ属に媒介されるスピロヘータ科の回帰熱ボレリアによる感染症。発熱期と無熱期を数回繰り返すことから、この名がつけられた。1950年以降は日本での国内感染が報告されていなかったが、2013年に国立感染症研究所でライム病が疑われた患者血清の疫学検討から回帰熱ボレリアの一種であるB.miyamotoiのDNAが確認された。
(国立感染症研究所ホームページ「<速報>国内感染が確認された回帰熱の2例(2013年9月3日掲載)より抜粋)』
ダニ媒介性脳炎
『マダニ属のマダニが媒介する、フラビウイルス科フラビウイルス属ダニ媒介性フラビウイルス(ダニ媒介性脳炎群ウイルス)が原因となるウイルス性感染症である。ヨーロッパ亜型・シベリア亜型・極東亜型の3亜型に分類される。脳炎による神経症状が特徴的。東ヨーロッパやロシアで流行がみられ、日本では北海道で2019年までに5例の国内感染例が報告されており、高い致命率と重篤な後遺症が認められている。ヒトは終末宿主で、ダニ媒介脳炎ウイルスを持った成ダニ・若ダニの吸血によりウイルスに感染する。世界では、年間1万から1万5千例の患者が発生していると推計されている。マダニは自然界の主な病原巣動物であるげっ歯類や燕雀類などのトリを吸血し、ウイルスを獲得する。ウイルスは、マダニの経齢間伝達と経卵伝達により維持される。ダニ媒介脳炎ウイルスの感染環においては、流行地域ごとに媒介マダニと病原巣動物の種類は異なる。ダニ媒介脳炎ウイルスを媒介する主なダニは、ヨーロッパ亜型ではリシヌスマダニ(Ixodes Ricinus)・シベリア亜型および極東亜型ではシュルツェマダニ(Ixodes persulcatus)である。日本ではヤマトマダニ(Ixodes ovatus)・アカネズミ(Apodemus speciosus)・エゾヤチネズミ(Clethrionomys rufocanus)・歩哨動物のイヌから極東亜型のダニ媒介脳炎ウイルスが分離されている。
近年、ダニ媒介脳炎の患者数は増加傾向にある。我が国においては、2018年6月までに道南から道北にかけて計5例の患者が報告されている。ダニ媒介脳炎ウイルスは、ダニによる刺咬の他にヤギ乳の喫飲により腸管感染することが知られている。ヤギがダニ媒介脳炎ウイルスに感染すると乳腺で増殖したウイルスが乳汁中に移行する。ダニ媒介脳炎ウイルスで汚染されたヤギ乳を喫飲することによりダニ媒介脳炎ウイルスに経口感染した場合、潜伏期間は比較的短く3日から4日である。
(国立感染症研究所ホームページ「ダニ媒介性脳炎とは(2018年08月27日改訂)」より抜粋)』
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)
『SFTSは、ブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスによるダニ媒介性感染症である。感染経路は、マダニ(フタトゲチマダニなど)を介したものが中心だが、血液などの患者体液との接触により、ヒトからヒトへの感染も報告されている。治療は対症的な方法しかなく、有効な薬剤やワクチンはない。
現在までに、我が国でSFTSを媒介したマダニとして、フタトゲチマダニ・ヒゲナガチマダニ・オオトゲチマダニ・キチマダニおよびタカサゴキララマダニが確認されている(図7)。
マダニには多くの種類が存在し、他にどの種類のマダニが感染源となるか、またウイルスの保有率などより詳細な実態は現在調査中である。マダニの活動期である春から秋にかけて多くの発生が認められている。
ウイルスを有するマダニの刺咬により感染する。マダニ刺咬痕が見当たらない患者もいる。最近の研究で、SFTSウイルスに感染し、発症している野生動物やネコ・イヌなどの動物の血液からSFTSウイルスが検出されている。このことから、SFTSウイルスに感染している動物の血液などの体液に直接触れた場合、SFTSウイルスに感染する可能性は否定できない。SFTSは、2013年3月4日に感染症法で全数把握対象疾患である4類感染症に指定されて以降、感染症発生動向調査において、これまでに約900人の患者が報告されている。男女比はほぼ1:1で、届出時点の年齢中央値は75歳だった。
(国立感染症研究所ホームページ「重症熱性血小板減少症候群」より抜粋)』
図7 フタトゲチマダニ Haemaphysalis longicornis
国立感染症研究所ホームページ 重症熱性血小板減少症候群(niid.go.jp) 2012年9月01日から引用
Yezoウイルス熱
児玉らは、北海道における新規オルソナイロウイルス(エゾウイルス: Yezo virus)によるマダニ媒介性急性発熱性疾患を発見し、報告した28)。北海道でマダニと思われる虫刺咬後、発熱と下肢痛を主訴に受診した患者より、過去に報告されていない新規オルソナイロウイルスが検出された。この新規ウイルス感染症について、検査法の整備、より詳細な調査研究が必要と考えられる。
2014年以降、少なくとも7名の感染者が北海道内で発生していることが判明した。マダニや野生動物にもYezoウイルスが感染しており、北海道内での定着の可能性を示唆した28,29)。
オズウイルス
『オズウイルスは、オルソミクソウイルス科 (Family Orthomyxoviridae)トゴトウイルス属 (Genus Thogotovirus)に分類される6分節の一本鎖マイナス鎖RNAをゲノムとしてもつエンベロープウイルスである。2018年に本邦でタカサゴキララマダニ(Amblyomma testudinarium)より分離同定され、オズウイルスと命名された。これまで国内のヒトにおける血清を用いた抗体検査の結果により、ヒトにおける感染の可能性が示唆されていたものの、世界的にヒトでの発症や死亡事例は確認されていなかった。2023年6月、ヒト感染症例(致死症例)が本邦から世界で初めて報告された30, 31)。
2013年に愛媛県で採取されたタカサゴキララマダニから、2018年に初めて分離された32)。本邦以外から同ウイルスの検出報告はない。
タカサゴキララマダニは、主として関東以西に広く分布している。野生動物の血清抗体調査によれば、オズウイルスの感染歴があると考えられる野生動物(ニホンザル(Macaca fuscata)・ニホンイノシシ(Sus scrofa leucomystax)・ニホンジカ(Cervus nippon))が千葉県・岐阜県・三重県・和歌山県・山口県・大分県で確認されている33)。ヒトでは、2013〜2019年に得られた山口県の狩猟者の血清を用いた抗体検査の結果、24名中2名で抗オズウイルス抗体が陽性だったという報告がある33)。これらの結果は、オズウイルスが日本の広い地域に分布している可能性を示唆している。
(国立感染症研究所ホームページ「オズウイルス感染症とは」より抜粋)』
マダニに咬まれて感染した茨城県在住の70歳代女性が、2022年にウイルス性心筋炎で死亡していたことを、厚生労働省と同県が2023年6月23日に発表した33)。
ダニ麻痺症(tick paralysis)
ダニ麻痺症34)は、まれに起こる上行性弛緩麻痺であり、毒素を分泌するマダニ科のダニが刺咬し、数日間付着し続けた場合に起こる。
北米では、カクマダニ属(Dermacentor)およびキララマダニ属(Amblyomma)の数種が、唾液中に分泌する神経毒によりダニ麻痺症を起こす。この毒素は、吸血の早期段階ではマダニの唾液中に存在しないので、麻痺はマダニが数日間以上吸血していた場合にのみ起こる。特に、後頭部や脊椎付近にマダニが付着した場合は、1匹で麻痺の原因となる可能性がある。
症状と徴候には・食欲不振・嗜眠・筋力低下・協調運動障害・眼振・上行性弛緩麻痺などがある。延髄麻痺や呼吸麻痺が生じることもある。鑑別診断としては、ギラン-バレー症候群・ボツリヌス症・重症筋無力症・低カリウム血症・脊髄腫瘍などがある。
イヌのダニ麻痺症
イヌもヒト同様にダニ麻痺症を起こす。特にイヌの場合、マダニとの接触機会が多く、マダニが付着した場合、吸血時間が長くなってから気付くことが多いため、慌ててつい、手でマダニを撤去しがちであるが、マダニの口下片はギザギザの棘状で口器はマダニセメントで固められている。無理に除去すると、口器がちぎれて皮膚内に残ってしまう。
イヌのダニ麻痺症とは、メスの成長したダニがイヌを刺咬吸血する際に、口器の口下片を通して分泌した体液(唾液)に含まれる麻痺成分によりイヌの筋肉が麻痺した状態のことである。フラフラな歩行、後肢の脱力などが症状として現れる。このような神経毒を分泌するマダニは、アメリカやオーストラリアに多く生息している。
運動麻痺を起こすダニ・森林ダニ(Dermacentor variabilis)・湾岸ダニ(Amblyomma maculatum)・オーストラリア麻痺ダニ(Ixodes holocyclus)などがある。
マダニ咬傷によるα-galアレルギー
『マダニの唾液腺や消化管には、galactose-α-1,3-galactose(以下α-gal)という糖鎖を持つタンパク質が存在する35)。
マダニ咬傷によって人体がα-galに感作される(α-galアレルギー)ことがある35)。α-galは牛肉や豚肉、羊肉に広く存在し、また抗腫瘍薬であるセツキシマブの分子構造中にも存在するために、マダニ咬傷後にこれらの物質に対して、蕁麻疹やアナフィラキシーショックを起こす体質になることがある。またα-galはカレイの魚卵の蛋白とも交差抗原性を持つために、子持ちカレイの料理などに対してもアレルギー反応を示す35)。ただしAB型およびB型の血液型のヒトは、これらのα-gal関連アレルギー反応を起こし難いことも知られている35)。α-gal関連アレルギーがあるかどうかは、α-gal特異的IgE検査(CAP-FEIA法)で調べることができる。
(Wikipedia「マダニ」より抜粋)』
7:マダニ刺咬対処法と忌避対策 マダニ類に刺されないための予防法や感染症への対策は?
不幸にもマダニに刺咬された場合、ダニの除去は早い方が良い。しかし、焦って除去するとマダニの腹部を押さえマダニの唾液成分を注入してしまう。また、無理に抜き取ろうとすると腹部が剥離し、口器が皮膚内に残ってしまう。このために、腹部には触れず皮膚からわずかに出た口器部分に、ダニ取りピンセットをくぎ抜きのように、V字状の間にしっかりと挟みゆっくりと回転させながら除去するマダニリムーバー、ダニツイスターなども市販されている。または、マダニを挟み込み、マダニに5回程電気ショックを与えた後にゆっくりと回転させながら引き抜く、電気マダニ除去器具やステンレス製のマダニ除去器などのマダニ除去器などもある。
CDCが推奨している除去法は、
『清潔で先の細いピンセットを使用して、皮膚表面のできるだけ近くでマダニを掴み、安定した均一な圧力で垂直に上に引き上げる。マダニをひねったり、引っ張ったりしない。口の部分が折れて皮膚に残る可能性がある。残った場合は、口部分をピンセットなどで取り除く。ピンセットで簡単に口を取り除くことができない場合は、放置して皮膚が治癒するのを待つ(図8)。
マダニを取り除いた後、刺された部分と手を消毒用アルコールまたは石鹸と水で徹底的に洗う。ダニを指で押しつぶさない。生きているダニを処分するには、アルコールに入れる・密封された袋や容器に入れる・テープでしっかりと巻く・トイレに流すなどの処置を求めている。
図8 マダニの除去法
CDC:ダニの除去|ダニ|CDC 「Tick Removal」から引用
フォローアップ
マダニを駆除してから数週間以内に発疹や発熱が生じた場合は、医師の診察を受ける。最近ダニに刺されたことを医師に伝える。咬傷が発生したとき、およびマダニが咬着した可能性が最も高い場所を伝える。
マダニにマニキュアやワセリンを「塗る」、熱をかけてマダニを皮膚から剥がすなどの民間療法は避ける。目標は、マダニが剥がれるのを待つのではなく、できるだけ早く取り除くことである。
(CDC「Tick Removal」より抜粋し編集)』
別の方法としては、医師の診察を受け、カイインダストリーズ生検トレパンなどを用い、マダニの咬傷サイズに対応した直径サイズで、皮膚を円柱状に外科的に切除する方法である。切除傷は数針縫う必要がある(図9)。また、近年報告された方法として、除去する前のマダニにカルボカインを注射して殺してから除去すると、皮膚障害を防げたとの報告がある36)。
図9 リシヌスマダニ(Ixodes ricinus)の摂食
56 歳の男性の脇腹に付着したマダニの若虫。 付着部位の周囲に紅斑がある(a)。 摂食幼虫の皮膚鏡像、背側像 (b)、および腹側像 (c)。 57 歳男性の下肢に生息する雌のマダニ。約 36 時間摂食。 付着部位の周囲にわずかな紅斑が見られる (d)。 摂食成虫(成体)の皮膚鏡像、背側像(e)、腹側像(f)。 目盛りの距離 (b、c、e、f): 1 mm。皮膚からマダニ(若虫)を正しく除去するには、事前に消毒やその他の操作を行わずに、ピンセットで皮膚表面に対して垂直に均等に引き抜く(g)。組織学的処理のためのパンチ生検による、付着部位を含むマダニの除去(h、i)。
J Dtsch Dermatol Ges. 2022 Jun;20(6):818-853. doi: 10.1111/ddg.14821. Epub 2022 Jun 8. PMID: 35674196. Fig3を引用
マダニに刺され難い予防方法は!
マダニに刺されないベストの方法は困難であり、ふとした気の緩みで犠牲となることが起きると思われるが、防御の基本は、マダニが忌避する対策・付着された時には素早く検出できる対策・マダニの生息情報や感染症情報を把握する・マダニを室内に入れないなどが基本対策である。
- マダニが潜む、植生箇所を通る作業や山野や河川敷などで野外活動をするときは、明るく白っぽい長袖・長ズボンを着用し可能な限り肌の露出を避ける、ズボンの裾を長靴や靴下の中に入れて、ダニ類の侵入を防ぐ。また、脚を覆う靴を選ぶなどの服装を心がける。
- むやみに林の中や叢に入らないようにする。叢に触れないように道の真ん中を歩行する。公園などの芝に直には座らないようにする。
- 特にマダニやツツガムシ生息に関する情報や報道には注意を払う。マダニ媒介性感染症の流行地を把握する。
- マダニ忌避剤を適切に使用する。市場で販売されている忌避剤には、使用法・使用上の注意点・使用濃度や頻度・対象害虫効果および忌避時間などが記載されているので、使用目的に合致した忌避剤を選択し、注意書きは熟読する。
- 散歩から帰宅したら、玄関先で自身の服およびペットの体にマダニが付いていないかを調べる。犬や猫などペットのカラダについたまま室内に持ち帰ってしまう場合もあるので、ペットや自身の洋服にマダニがついていないかを確認してから家の中に入る。
- 家の中にネズミの糞、尿(ブラックライト照射して確認する)などの痕跡を見つけたらネズミ駆除をはかる。マダニはネズミに寄生していることが多いので、ネズミの駆除は必須である。また、僅かなサイズの通路であっても小害獣の通路となっている可能性があるので過信することなく対策をはかる。
- 野外活動のあと、入浴時には脇の周囲や下腹部・陰部・太ももなどの皮膚にマダニが吸着していないか調べる。乳幼児では頭部にマダニが吸着していることがあるので、頭皮も探す必要がある。マダニを見つけても、慌てる必要はない。自分で除去できそうにない場合は、できるだけ早く皮膚科を受診する。
- マダニ類に刺されたあとに、発熱や倦怠感・発疹・刺し口などの皮膚症状・下痢・嘔吐などの消化器症状・麻痺などの神経症状が現れた場合は、必ず医療機関を受診する。その際に、野外活動歴(活動の時期・場所・内容など)やダニ類に刺された(かもしれない)ことを医師に伝える。自分でマダニを除去した場合は、虫体を持参すると診断の参考になる。このとき、病原体保有の可能性もあるので虫体を潰したり、素手で触ったりしない。
8:マダニ採集法
1) 巣材採集
これは、哺乳類や鳥類の巣材を採取し、その中に潜んでいるマダニ類を採集する方法である。マダニ類の中には、吸血しなくても長期間生存できるもの(マダニ目ヒメダニ科の仲間)もいるため、以前に動物が使用していた巣からも採集できる。採集方法はシンプルで、採取した巣材を細かく砕き、目視もしくはツルグレン(Tullgren)装置によって、中に潜んでいるマダニ類を集める。ツルグレン装置は、土壌動物の採集によく使われる道具で、巣材の中の虫を光と熱によって追い出して集める。ツルグレン装置の仕組みは単純なので、自作も可能である。なお、この方法では、マダニ類だけでなく、巣材に潜むさまざまな虫(その他のダニ類・ノミ類・ハエ類・蛾類・甲虫類・チャタテムシ類など)も採集できる。操作中は、熱源を使用するので長時間席を外すことは避ける。
2) 葉裏採集
これは、マダニ類の密度が特に高い地域で有効な方法である。マダニ類の中には、フタトゲチマダニやキチマダニのように、植物の葉の裏側や茎などで待ち伏せし、吸血源となる宿主動物を待つマダニ種は多い。このため、適当な葉を次々に裏返して調べ、待機中のマダニ類を見つける方法である。ただし、採集の成果は確実性が低く運が左右する。白布を使った採集や動物の体からの直接採集に比べると採集効率は格段に悪い。天候により白布が使い難い時に試すとよい。森ら37)は、この調査法を用い、1989年5月から1991年8月までの期間、房総丘陵東南部に定点調査地を設定し、植生上におけるチマダニ属の静止位置を調査した。季節により繁植物が異なるため一概の評価は難しいが、月別マダニ個体数(地上高)の平均高(cm)は、4月が29.1cm、最も個体総数の多い8月で41.8cm、最も個体総数の少ない12月で43.3cmであった。月別平均値は最高65.3cm(5月)最低29.1cm(4月)平均43.4cmであった。繁植物が異なる全国で同様なデータが欲しいところである。
3) 誘引トラップ
これは、マダニ類が、二酸化炭素・酪酸などのにおい(化学物質)や熱に誘引されるという性質を生かした採集法である。マダニ類の中には、宿主動物の通過を待機している種(フタトゲチマダニやキチマダニなど)と、自ら歩き回って動物を探して寄生する種(タカサゴキララマダニやカモシカマダニの成虫など)の2タイプがある。この方法は、後者に対して特に有効な方法である。マダニ類を集めるための二酸化炭素発生源としては、ドライアイスを使うことが多いが、人体が発する二酸化炭素でもマダニ類を誘引することができる。我が国では、トラップを使ったマダニ調査は少ないため今後の展開に期待が持てる方法である。
4) フランネル法(旗振り法)
最も一般的な採取方法で、山間や林間の草地や地表を白色のフランネル布(ウールを意味する)50cm×50cmを用い、旗を振るようにして草木を撫でる、もしくは引きずって歩き、布に付着したマダニ類を集める。全ての発育期の個体が付着するが、ヒメダニ科のようにこの方法ではほとんど取れない種もある。
その他に、歩哨犬・哺乳類・鳥類の体表を肉眼的に検査する体表検査法などがある。
9:屋内塵性ダニ
これまで、マダニを中心に述べてきたが、以降は、ダニ類で最も一般的な馴染み深い室内の屋内塵性ダニを紹介する。
ヒョウヒダニ(チリダニ)
ほぼ通年を通して検出される。カーペット・絨毯・寝具などヒトが長時間くつろぐ場所で繁殖。ダニの体や死骸・糞がアレルゲンとなりアレルギー性疾患をひき起こす。ヒトを刺すことはない。温度20~30℃、湿度60~80%の高温多湿を好む。
- 代表的なダニとサイズ:0.3~0.4mm(コナヒョウヒダニ)・ヤケヒョウヒダニ
- 餌:ほこり・ヒトのフケ・アカ・食べ物残渣・その他有機物など
- 生息場所:カーペット・ベッド・枕・布団・ソファなど屋内の乾性ヒト生活圏
コナダニ
梅雨時、秋口などの高温多湿を好み、繁殖力が極めて旺盛。ヒトを刺すことはない。ただし、コナダニを捕食するツメダニがコナダニの繁殖にともない増殖し、そのツメダニによる刺咬被害が有る。低温に強い。湿度を下げると繁殖は抑制する。温度25~28℃、湿度65~75%を好む。大量発生すると白くコナ吹いたように見えるためコナダニと呼ばれる。食品や畳、新築の家にも発生する。
- 代表的なダニとサイズ:0.3~0.4mmケナガコケダニ
- 餌:広範囲の食品(砂糖・乾燥果実・味噌・削り節・煮干・小麦粉・チーズ・チョコレートなど)・医薬品・ワラなど
- 生息場所:食品・畳など
ツメダニ
梅雨時や秋口に増殖し、8~9月は特に被害が増加する。触肢の先端に大きな爪をもつ。捕食性なため寄生せず、自由生活をする。動きは俊敏で、コナダニ類・チリダニ類・ニクダニ類などの他のダニやチャタテムシ(本シラミ)およびノミの幼虫などを捕食し体液を吸う。餌となる虫が増えると、ツメダニも捕食者として二次的に発生繁殖する。積極的にヒトを刺すことは無いが、稀にヒトを刺し体液を吸い、刺咬症の原因となることもある。吸血しない。
- 代表的なダニとサイズ:0.3~1.0mmフトツメダニ・ホソツメダニ・クワガタツメダニ・ミナミツメダニ(0.3~0.5mm)
- 餌:他のダニ(ヒョウヒダニ・コナダニ)・小昆虫など
- 生息場所:カーペット・畳など
イエダニ(英名:トロピカル・ラット・マイト)
ネズミや鳥類に寄生する吸血性のダニ。宿主ネズミの死亡、もしくはネズミ巣内で大発生した場合などに、移動してヒトを吸血する。構造上の微細部や暗い場所に潜み、通常は夜間に吸血。5月頃から発生し、6~9月が発生の最盛期。ヒトへの被害も発生期と重なる。
- 代表的なダニとサイズ:0.6~1.0mmイエダニ
- 餌:ネズミ・哺乳類・鳥類の血液
- 生息場所:ネズミの体・巣
屋内の畳やカーペット、フローリング、寝具類などから検出されるダニを屋内塵性ダニと呼ぶ。屋内塵中から検出されるダニの中でヒトの皮膚を刺し、皮膚に炎症を起こす種を含むものには
- ・オオサシダニ科(イエダニ、トリサシダニなど)
- ・ワクモ科(ワクモなど)
- ・ツメダニ科(ホソツメダニ、フトツメダニ、ミナミツメダニなど)
がある。
ダニの害
アレルギーの原因となるダニ
アレルギー疾患の原因の80%以上がダニによるものと言われている。
ツメダニは、ヒョウヒダニやコナダニなどを捕まえて体液を吸って生きているダニである。普通、室内では比較的数が少ない種類であるが、築後2~3年を経過した家屋や新しい畳などで、ヒョウヒダニ・コナダニ・チャタテムシなどが大発生すると、それを捕食するこのツメダニも大発生する場合がある。吸血はしないが、夜間就寝中に這い出てきてヒトを刺し、傷口から唾液を入れ、さらにヒトの体液を吸う。刺されると、その瞬間は痒みも腫れもないが、1~2日経つと赤く腫れてかゆみが起き1週間ほど続くことがある。(遅延性のアレルギー皮膚炎)
刺されやすい場所は、大腿部・上腕部の内側・腹腰部などに集中し、布団や畳に接した側が被害を受けやすい。
イエダニはネズミや鳥類に寄生し吸血しているダニで、感染症を媒介する。
寄生している動物が死ぬと、新たな寄生先を求めてヒトを吸血することがある、これが原因で皮膚炎を発症する。腹部や太ももから吸血されることが多く、6~9月に多く見られる。
ネズミがいるとイエダニがいる可能性がある。ネズミの駆除と感染症を媒介する恐れのあるイエダニを部屋全体、さらには部分駆除を実施する。最後は消毒で清拭後に掃除機をかけ死骸や糞(フン)などを除去する。
10:まとめ
マダニは未確認の病原体を持っている可能性も高く、さらに今後、新たな病原体を獲得する可能性もある。さらに、マダニ一つの個体が複数の病原体を保持している例や、ヒトの共感染例も報告されている。共感染は、複数化するほど病状が複雑化し、診断が困難となる。稀なケースながらライム病・アナプラズマ症・マダニ媒介性回帰熱・バベシア症を同時期に発症した事例もある。本事例では診断に4年間を費やし、一命は取り留めたものの体力の完治は無かった38)。また、マダニ媒介性感染症は致死率も高く、新型コロナ後遺症との類似点を示すなど治療が困難で長期化することも多い。多くの動物種に寄生し世代を通して吸血する生活史のため、新たな病原体を獲得し、ヒトに動物にと広範囲に伝播するであろうことは容易に想像できる。このように害獣被害、マダニ咬傷など多様化、複雑化する感染症診断学では、共感染例、病原体の早い塩基変異等への対応は、喫緊の課題の一つかもしれない。この対応策として、野外調査を含めたマダニ、害獣の保有病原体解析および発症例解析に次世代シーケンサー、ナノポアシーケンスの活用が期待される。さらに、広範囲な専門知識を有する多分野の研究者が協議し、地道ながら多面的なデータベース構築が不可欠である。その結果を基に早期に診断検査を樹立すべきである。さらに、一般の方々への警告と情報発信は重要である。この場合、情報発信法と工夫が必要である。さらに、反面的な見地としては、マダニが有する成分解析も興味深いものがある。体内にあらゆる病原体を継代的に保持する能力・ハラー氏器官の感覚器能力・唾液に含まれる感染抑止機構・痒みや痛みの抑止機構・マダニセメントおよびセメント溶解機構、血液凝固阻害機構などマダニは多くの有益な生理機構を有している。トランスクリプトーム技術による解析の基、すでに一部の成分は開発途上にあるが、今後ますますの応用にも期待したい。
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