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検査室支援情報

Lab Column 小林 利康(医療ライター)

「治す医療」と「治し支える医療」の役割分担が明確化

厚生労働省は3月5日付で、2026年度診療報酬改定を告示した。改定は2026年6月から実施され、2040年とその先を見据えた内容となっている。「急性期・高度入院医療」においては、「治す医療」と「治し支える医療」を担う医療機関の役割分担が明確化された。これまでの平均在院日数や医療看護必要度、在宅復帰率を中心とする病棟単位の機能評価だけではなく、救急搬送件数、全身麻酔手術件数、介護保険施設等からの緊急入院受け入れ実績といった「病院単位の機能」に着目した評価体系(急性期病院一般入院料)が導入される。

具体的には、「急性期病院A/B一般入院料」「急性期総合体制加算」が新設され、特定機能病院入院基本料もA/B/Cに区分された。高い保険点数を付与することで、医療機関が抱える経営困難な状況にも対応している。急性期病院A一般入院料は、地域包括医療病棟および地域包括ケア病棟のいずれも届け出ることができず、急性期病院B一般入院料についても地域包括医療病棟の届け出が不可であることが施設基準に明記された。「治す医療」と「治し支える医療」との役割分担がより明確化される方向性が読み取れる。

さて、医師数は2022年までの10年間で30万3000人から34万3000人へと約4万人増えているが、外科領域の医師不足は深刻で、診療科の偏在が起きている。今回の改定では「外科医療確保特別加算」が新設され、加算額の一部(3割程度を目安)を執刀医等の手当に直接充てる要件を設けるなど、外科医の勤務環境・処遇の改善を図り、高度な手術を行う体制を評価した。外科医療確保特別加算によって診療科による医師不足の解消が期待される。このような特別加算が認められたことで、今後は臨床検査を含め、より高度な医療の質を担保するうえで不可欠な技術的貢献に対しても、同様に評価する特別加算の導入が望まれるのではないか。

その中で、患者の早期退院やADLの維持・向上を目指した「看護・多職種協働加算」も同時に新設された。看護師とともに理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、管理栄養士、そして臨床検査技師が病棟でそれぞれの専門性を発揮し、協働(タスクシェアリング)して診療の補助を行うことが評価される。臨床検査技師には、適時の検体検査の実施や結果確認に加え、異常値(パニック値)の迅速な報告、検査室外で実施する検査の調整など、円滑な検査体制の構築が期待されている。算定条件として、急性期一般入院料4または急性期病院B一般入院料を算定する病棟が対象となる。各病院にとっては、救急搬送や全身麻酔手術件数などの実績を基に「急性期病院A一般入院料」を目指すのか、「急性期病院B一般入院料(または一般入院料4)+看護・多職種協働加算」などのどれを選択するか、自施設の役割に応じた経営視点での検討が行われるのではないかと思われる。

このほか、物価高や賃上げに配慮した改定も行われている。賃金は、賃上げの実績が翌年度につながるよう継続的な取り組みが求められている。本稿では急性期医療の一部にとどめたが、今回の改定は極めて広範に評価・見直しが行われている。厚生労働省が公開している資料や動画などを通じ、自施設が進む方向性と地域で担う役割を把握していくことが重要だ。

2026.03.17

参考資料
令和8年度診療報酬改定説明資料等について|厚生労働省
(2026年03月13日 現在)