SOLUTION

検査室支援情報

Lab Column 小林 利康(医療ライター)

「医療法改正」のポイント~医療DXの推進・地域医療構想・医師偏在対策~

医療法等の一部を改正する法律が2025年12月5日、参議院本会議で可決、同月12日に公布された。「医療DXの推進」のほか、「地域医療構想の見直し等」「医師偏在是正に向けた総合的な対策」を法律で規定した。

「医療DXの推進」により、有用な電子カルテ情報を医療機関間で共有する。これまで電子カルテの情報は、1つの医療機関や特定の系列病院内での共有に留まっていたが、今後は、病院を越えた共有が行われる。電子カルテ情報共有サービスと呼ばれるものである。そのため、国は2030年末までに電子カルテの普及率を100%にする目標を掲げている。最新の厚生労働省の調査(2023年)によれば、電子カルテの普及率は400床以上の大規模病院で90%を超えている一方、病院全体では66%、一般診療所では55%に留まっており、施設規模による普及格差の解消が急務となっている。特に導入が遅れている診療所や小規模病院向けに、厚生労働省主導でクラウド型電子カルテ(標準型電子カルテ)の開発が進められている。

医療情報を円滑に共有するための1つに、臨床検査データの標準化が不可欠である。臨床検査業界でもデータの標準化に向けた検討が進められている。電子カルテ情報共有サービスで情報の共有を求められる検体検査項目は、生活習慣病関連や救急時に有用な43項目と感染症5項目である。今後さらに多くの検査項目の共有が求められる可能性もあるが、ひとまずこれらの項目をどのように標準化すべきか、今後も継続した課題になりそうだ。

次に「地域医療構想の見直し等」は、2014年(平成26年)の医療法改正で創設された。良質かつ適切な医療を効率的に提供するため、各都道府県で実施される病床機能報告制度により、将来の必要病床数を推計する。初期の地域医療構想での病床数の見直しは2025年までの計画であったが、現状では高度・急性期病床の割合がいまだに高く、回復期病床は目標よりも低い結果となった。次の地域医療構想は2027年から2040年までとなる。今後は病床数とともに、病床機能も回復期病床の割合を増やす取り組みが進みそうだ。

このほか、オンライン診療についても法律で定義され、手続きや診療を受ける場所について規定された。オンライン診療の普及により、患者の横で看護師が臨床検査を行うことも想定されるため、使いやすいPOCTのニーズが高まる可能性がある。

「医師偏在是正に向けた総合的な対策」では、外来医師多数区域で新規に診療所を開設する場合、「6か月前の事前届け出」が必要になり、設置要件が変更される。また、保険医療機関の管理者は、保険医として一定年数の従事経験を持つことが規定された。

医療情報の共有により、標準的な診療が広く普及する際、臨床検査データは非常に重要な役割を担っている。診療の標準化が進み、より良質な医療の提供が期待される。改正医療法の施行日は2027年4月1日(一部の規定を除く)。臨床検査にも関わる内容も含まれており、多くの方々に関心を持って注視してほしい。

2026.02.04